認知症について
掲載日:2024.08.05(月)
介護施設でかなりの割り合いを占める認知症について
- そもそも認知症とは何か?
- 認知症には種類があります。
- どんな状態が認知症ではないのか?
- まずは認知症の方への理解が必要
- 認知症の方への対応の仕方は?
そもそも認知症とは何か?
「認知症」とは特定の病気の名前ではありません。認知症は、脳に影響を与える色々な疾病によって生じた様々な症状を総称する言葉です。
認知症を持つ人々は、特に知性的な機能が侵され、通常の生活を行う上での活動や人間関係に支障がでます。
認知症の人々は、問題を解決し情動を安定させる能力を失い、人格の変化や異常興奮、錯覚、幻覚といった問題行動を生じることもあります。
認知症においては記憶障害が共通して認められますが、記憶障害があるからといってそれだけで人が認知症であるというわけではありません。
医師が認知症の診断を下すのは、意識障害を伴わない状態で、以下に示す脳の機能のうち少なくとも2つ以上が著明に侵された場合です。
それは、記憶、言語能力、知覚能力、論理的思考や判断力などの認知力です。
認知症には種類があります。
認知症を生じる病気の分類にはいくつかあります。ここで示す分類法は、病気が進行性か否か、脳のどの部分が影響を受けるのかといったように、病気に共通する特徴によって行った分類法です。
☆皮質性認知症:大脳皮質、或いは脳の表層のダメージが主な認知症。皮質性認知症は、記憶、言語、思考、社会的行動などに問題を生じやすい。
☆皮質下性認知症:皮質下の脳ダメージが主体の認知症。このタイプでは、記憶の障害に加えて感情や行動に変化が現れやすい。
☆進行性認知症:時間とともに症状が進み、徐々に認知機能が失われていくもの。
☆原発性認知症:ADのように、他の病気が原因ではないもの。
☆二次性認知症:病気や外傷が原因で起こる認知症。
上記の分類に二つ以上当てはまるものもあります。例えばADは、進行性であり皮質性の認知症と考えられます。
どんな状態が認知症ではないのか?
加齢による認知力低下:人は加齢に従い、情報処理が遅くなり、記憶力が穏やかに低下することを経験します。また高齢者では脳の体積が減少し、神経細胞が失われていきます。こうした変化は加齢性認知力低下と呼ばれており、正常の現象で認知症ではありません。
軽度認知力障害:認知症と診断するには十分でないが、正常な加齢現象による低下より明確な、認知力や記憶力の低下を示すことがあります。この状態を、軽度認知力障害と呼びます。この状態の人の多くは後に認知症を発症しますが、認知症にならない人もいます。多くの研究者がこの軽度認知力障害を研究し、治療によって認知症に発展しないようにする方法を探しています。
うつ状態:うつ状態の人は大抵受動的で反応に乏しく、動作がのろく、混乱し、忘れやすいように見えます。その他の情動問題でも、時には認知症に似た症状を呈することがあります。
せん妄:せん妄というのは、混乱と急速に変化する精神状態で特徴付けられます。また見当識障害、不活発、執着心、人格変化を呈することもあります。せん妄は中毒や感染症といった、治療可能な肉体的あるいは精神的病気が原因となります。せん妄の患者はいつもとは限りませんが、ベースにある疾患の治療によって完全に回復することが多いようです。
まずは認知症の方への理解が必要
初めに認知症の方は不安で傷付きやすいというのが前提にあります。
まず、人の名前を思い出せなかったり、自分が普段使うメガネや杖をしまった場所が思い出せなかったりといった中核症状が見られるようになります。そして、次第に一緒に暮らしている家族の顔や名前、さらに今日の日付や直前に食事をとったことも思い出せなくなってしまいます。
子どもと孫の名前を言い間違えるのも、よくありがちな認知症の兆候です。 症状が進むと自分の年齢や名前さえ忘れてしまったり、外出した際に自宅の場所を忘れてしまい帰宅できなくなるようなケースもあります。高齢者の徘徊が社会問題の一つになっていますが、その多くは自宅の場所を思い出せなくなったために起きていることなのです。 こういった症状やトラブルが発生した場合、家族は大きなショックを受けますが、一番傷ついているのは高齢者本人です。今までできていたことができなくなる、思い出せなくなる。そのことが受け入れられず、急に塞ぎ込んだり、逆に周囲に八つ当たりと言わんばかりに怒りっぽくなるなどの変化が見られるようになります。
そのため、認知症の方は、とにかく心理的に不安であるということを、コミュニケーションを取る上で介護士の方は再認識しなければなりません。
認知症の方への対応の仕方は?
これは経験などもあると思いますのでざっくりと基本的な事しか載せませんが
1 話しかける前に、目線を合わせて、耳の近くで話すように!
大きな声で、耳元で、ゆっくり話す。目線の高さを合わせる
2 羞恥心やプライドは変わらない。「否定しない、叱らない」が大原則!
認知症が進み、記憶力が低下しても、羞恥心やプライドは変わらないと言われています。その点をよく理解した上で本人に話しかける必要があります。
3 アイコンタクトやスキンシップが持つ可能性
認知症の症状の特徴として、比較的新しい記憶から失われていく傾向があります。逆に言い換えれば、幼少期の記憶は失われていない可能性があります。
この特徴を活かした「回想法」という手法が認知症患者に有効であると言われています。具体的には、子どものころによく遊んだもの、歌、写真などを切り口に昔の記憶を思い出してもらい、脳の活性化とともに情操の安定を試みる狙いがあります。話が盛り上がってくれば、介護士さんとのコミュニケーションの形成にも役立ちます。 言葉でのコミュニケーション以外で、見つめる(視線を合わせる)、触れる(ボディタッチ)といった 集団の中で”自分”という存在を再認識してもらい心の安定を導くのです。